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第十五回 精液検査(神奈川県の不妊専門鍼灸院の妊活ブログ)

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こんにちは。神奈川県藤沢市の不妊整体 不妊鍼灸専門院 ファンクショナルマッサージ治療室です!

今回は妊活の実話の物語(仮名)をご紹介します。

ご本人の了承を頂いてこちらに綴らせていただきます。

 

第十五回 精液検査

 

「精液検査をお願いします」

僕がカウンター越しに話しかけると、事務員の女性が少しうろたえた様子で「え…あ、はい」と答えた。

藤沢の不妊外来。精液検査の受付なんて日常茶飯事だろうと思っていたから、あちらの意外な反応にこちらまでうろたえてしまう。

予約してたんだけどな…。

直接、病院まで検査しに来る男がめずらしいのか?

精液は奥さんに持参してもらうのが普通なのかもしれないな…なんて思った。

平日の昼間は男は仕事してるもんだし…恥ずかしがって直接は来ない人もいるだろうし…。

男女同伴で来院しているカップルもチラホラいるのだが。

精液検査だけなのに、奥さんがついてきている人なんているのかな…。

ウチみたいに。

マコはソファーのひとつに腰かけて、眠そうに『たまごクラブ』を読んでいる。

ホテルのロビーみたいなオシャレな待合室で、外の廊下にまで人があふれていた。

「待ちそうだね」

そう言うと、マコはすぐ近くのマガジンラックに『たまごクラブ』を戻した。

「あのさ…精液検査ってさ」

「なに?」

「奥さん、くる必要あんの?」

マコは眠そうに「ない」と答える。

「だよね」

「でも、気になるじゃん」

「ああ…まあ、そうね…」

彼女にとっても、不妊が自分の責任かどうかが今日わかるわけで。

「はやく知りたいじゃん」

まあ、そうかもしれないが…。

しかし、まるで母親につきそわれて病院に来ている子供になったような、妙な気恥ずかしさがある。採精しているあいだ待っていられるのもイヤだった。

採精というのは…読んで字のごとく精子を採取することなのだが…。

いやもう、この際だから包み隠さずに申し上げよう。

マスターベーションをして、病院が用意した容器の中に射精するのである。

ああ、イヤだ…。

「今ごろ出してんのかなぁ…」なんて想像されると思うと落ち着かなかった。

しかし、乗り越えなければならなない試練だ。

ここを乗り越えなければ、なにひとつ進まない。

『フーナー検査で精子ゼロ』の謎が永久に残ることになる。

長い長い待ち時間を、僕は心を落ち着けることに使った。

リラックスしていたほうが、検査の結果も良いらしいから…。

マコも僕の気持ちを感じとってか、待ち時間のあいだはあまり話しかけてこなかった。

お互いの沈黙が、やや気づまりになりはじめた頃…。

受付で渡された呼び出しのアラームが鳴りはじめた。

僕はすっくと立ち上がる。

ついに、その時が来た。

僕の生殖能力が健全かどうか、いま試されるのだ。

「行ってきます」

マコを振り返って、僕は宣言した。

彼女も読んでいた『妊すぐ』をパタンと閉じ、僕とまっすぐに視線を合わせる。

「行ってらっしゃい」

手を振ったマコに大きくうなずくと、僕は採精容器を受け取るべく受付へと歩き出した。

 

次回に続く

 

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