11Dec

こんにちは。神奈川県藤沢市の不妊整体 不妊鍼灸専門院 ファンクショナルマッサージ治療室です!
今回は妊活の実話の物語(仮名)をご紹介します。
ご本人の了承を頂いてこちらに綴らせていただきます。
第十五回 精液検査
「精液検査をお願いします」
僕がカウンター越しに話しかけると、事務員の女性が少しうろたえた様子で「え…あ、はい」と答えた。
藤沢の不妊外来。精液検査の受付なんて日常茶飯事だろうと思っていたから、あちらの意外な反応にこちらまでうろたえてしまう。
予約してたんだけどな…。
直接、病院まで検査しに来る男がめずらしいのか?
精液は奥さんに持参してもらうのが普通なのかもしれないな…なんて思った。
平日の昼間は男は仕事してるもんだし…恥ずかしがって直接は来ない人もいるだろうし…。
男女同伴で来院しているカップルもチラホラいるのだが。
精液検査だけなのに、奥さんがついてきている人なんているのかな…。
ウチみたいに。
マコはソファーのひとつに腰かけて、眠そうに『たまごクラブ』を読んでいる。
ホテルのロビーみたいなオシャレな待合室で、外の廊下にまで人があふれていた。
「待ちそうだね」
そう言うと、マコはすぐ近くのマガジンラックに『たまごクラブ』を戻した。
「あのさ…精液検査ってさ」
「なに?」
「奥さん、くる必要あんの?」
マコは眠そうに「ない」と答える。
「だよね」
「でも、気になるじゃん」
「ああ…まあ、そうね…」
彼女にとっても、不妊が自分の責任かどうかが今日わかるわけで。
「はやく知りたいじゃん」
まあ、そうかもしれないが…。
しかし、まるで母親につきそわれて病院に来ている子供になったような、妙な気恥ずかしさがある。採精しているあいだ待っていられるのもイヤだった。
採精というのは…読んで字のごとく精子を採取することなのだが…。
いやもう、この際だから包み隠さずに申し上げよう。
マスターベーションをして、病院が用意した容器の中に射精するのである。
ああ、イヤだ…。
「今ごろ出してんのかなぁ…」なんて想像されると思うと落ち着かなかった。
しかし、乗り越えなければならなない試練だ。
ここを乗り越えなければ、なにひとつ進まない。
『フーナー検査で精子ゼロ』の謎が永久に残ることになる。
長い長い待ち時間を、僕は心を落ち着けることに使った。
リラックスしていたほうが、検査の結果も良いらしいから…。
マコも僕の気持ちを感じとってか、待ち時間のあいだはあまり話しかけてこなかった。
お互いの沈黙が、やや気づまりになりはじめた頃…。
受付で渡された呼び出しのアラームが鳴りはじめた。
僕はすっくと立ち上がる。
ついに、その時が来た。
僕の生殖能力が健全かどうか、いま試されるのだ。
「行ってきます」
マコを振り返って、僕は宣言した。
彼女も読んでいた『妊すぐ』をパタンと閉じ、僕とまっすぐに視線を合わせる。
「行ってらっしゃい」
手を振ったマコに大きくうなずくと、僕は採精容器を受け取るべく受付へと歩き出した。
次回に続く
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