12Dec

こんにちは。神奈川県藤沢市の不妊整体 不妊鍼灸専門院 ファンクショナルマッサージ治療室です!
今回は妊活の実話の物語(仮名)をご紹介します。
ご本人の了承を頂いてこちらに綴らせていただきます。
第十六回 精液検査2
「りょ…良好ですか?」
思わず表情がほころぶ。
「いえ、まあ飛び抜けて状態が良いという意味ではないです。ただ、問題のある所見は今回の検査では確認できませんでした」
医師はそういうと、検査結果がプリントされた用紙を僕に差しだした。
精液量、精子数、運動率、奇形率、精子濃度、総運動精子数…すべて問題なし。
「いるんですね、僕の精子は」
「ええ、いわゆる普通の状態です。少なくとも旦那さん側が不妊の原因である可能性は低いんじゃないかと思います」
普通!
普通ということが、こんなにありがたいコトだとは。
僕の生殖能力は問題なかったのだ…!
喜びを分かち合おうと隣のマコを見ると、マコはいつか見た憂鬱げな表情に戻っていた。
ああ…そうだよな。
僕が不妊の原因じゃないとハッキリしたということは、マコがその原因であることがハッキリしてしまったということだ。
僕は表情をふたたび引きしめた。
診察室を出て会計を待つ。
精液検査を待っている間とはまた別の意味で、僕とマコは無口になった。
しかし、どういうことなんだろう。
二回にわたって実施したフーナー検査では、マコの頸管粘液中に精子は一匹も見られなかった。
検査前12時間以内に関係を持ったにも関わらず。
僕の精子は、数も運動率もまったく異常がなかったのに…。
それとも、フーナー検査の時には僕の精液には精子がいなかったとか…。それがアワキハラ先生の施術で復活したのか?
うーん…しかし…精液中にほとんどゼロだった精子が、数回の鍼治療で突然に通常の状態に戻ることなどあるのだろうか?
施術の効果があったことはそうなのかもしれないが、僕が無精子症でなかったことは確かだと思う。…たぶん。
じゃあ、やっぱり不妊の原因は…。
マコの表情は暗く沈んでいた。
はた目から見れば普通に見えるんだろうけど…僕にはよくわかるのだ。
あー…これなら精液検査なんかしないほうが良かった。
精液検査は、『こっちはゼロでこっちは100』みたいに責任の所在を明確にしてしまった。
決定的で残酷だった。
僕は気まずいまま視線をマコからそらせた。
待合室を見渡すとお腹の若干ふくらんだ女性が数名いて、そのうち何人かのとなりには夫だとおぼしい男性が付き添っていた。
マタニティ雑誌の表紙のような、絵に描いたような幸せな光景だった。
意識的に世間を斜めに見ようとしているライターの僕からすると、あまりにベタすぎて恥かしくなってしまうような典型的な幸福。
僕はこういう幸福を一生マコに与えてやれないのかもしれない…。
そう思うと、僕のなかで焦りが生まれたのがわかった。それは『マコに申しわけない』というような、罪悪感とも違うものだった。
「アレ、やろうか」
僕が話しかけると、下を向いていたマコが顔をあげた。
「…アレって?」
「ほら、アレ…人工授精」
マコはぽかんとして…。
そして、彼女の顔に貼りついていた暗い表情がスッと消えていくのがわかった。
僕の中にも、父親になるプログラムのようなものが組みこまれていたのかな…。
そのスイッチが、今さらになってようやく入ったみたいな…そんな瞬間だった。
次回に続く
女性の不妊鍼灸は無料体験があります!
不妊鍼灸の無料体験はこちらからお願いします!